今の子だって同じさ




嬉しかった! 今でもその時(1965年の旅)を思い出すと肌が粟立ちます。初めての飛行機で初めての海外旅行です。羽田離陸時は驟雨に見まわれ、ターミナルビルの屋上で傘を煽られる両親に、もの悲しさを感じましたが、バンクーバーの飛行場は抜けるような快晴で、滑走路を踏んだときは喜びのあまり体が震えました。
チューリップに唖然としたのはほんの序の口、サーモンのステーキも、湖も、国立公園も、カナディアンロッキーの山々も、何もかもが巨大です。澄んだ空、広大な大自然----、そのとき確かに思いました。社会は「進歩」すると、このように豊かな環境に住めるのだ、と。(……編集中記【No.111】 Jul 24, 1997)
Banff のホテル----。私の建物の観念を覆された、瀟洒で、豪華で、素朴で、重厚なホテル。そのテラスで飲んだ珈琲が忘れられません。満たされるとはこのような瞬間を指すのでしょう。自然に魅せられ、寛ぎ、素朴で、平凡で、静かで、しかも限りなく美しい。私の満足とはこのような生活を意味しており、とても現在の社会に「満足している」とは言えません。
自然を特別とする考え方が、あるいは自然を保存しようとする姿勢が、「大切なのは身の回りの自然であり、自然の中での生活である」という私の感覚と、余りにもかけ離れているから満たされないのです。(……編集中記【No.113】 Jul 26, 1997 )
未知の世界を尋ねることは、戦慄が走るほどの喜びです。私が最初に海外(バンクーバー)に立った時の感激はコロンブスにも劣りますまい。そのことを帰りの機内で話しましたところ、娘は「今の子だって同じさ」(……旅・八十歳と出かけたスペイン旅行)
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