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2005-04-18

自伝のジャンルと商人の自伝のジャンル

「祖父の肖像」を当サイトに載せた際、ある学者から「『商人の自伝』というジャンルはアメリカではけっこうあったようですが、日本でもそういう試みがあったのですねえ」と教えられ、嗚呼!と思ったことがあります。

知識の貧しい私は、自伝とは単一ジャンルで、卓越した指導者や、社会的に名を成した英傑の表現と信じていました。

自分史ですか。私のサイトを「自分史」としてご紹介願える場合、「執筆者本人の自分史はどこどこにあります」と注記が必要なほど、私は自分を分散させています。

インターネット以前の私の随想は、足許を見据えた考察ですので、読み物としてのエッセイにはほど遠いです。MLで連載した「繊維問屋にて」「中町にて」は自分史相当でしょう。しかし、あの二点を読んで私の輪郭がわかる人は、とても想像力に長けています。

「橡の木の葉」の版元を探していた際、ノンフィクションの出版社の編集部長から「……『影の主人公』はこの語り手自身だということがわかります。私がこの原稿に惹かれたのもそこです。こんなことを言うと面食らわれるかもしれませんが、島田さんにある『私小説』作家としての資質を……。もうちょい全面に島田さんの生い立ちの記などなどがあってもよいかなあと。……」というお便りをいただきました。

当サイトを宣伝する際は使いますが、自分史という言葉は苦手です。

ジャンルなのです、私が嗚呼!と思ったのは。皆さんは、「商人が執筆した『自分史のジャンル』ですね」との違いをどう解釈しますか。

違いは流れにあります。「『商人の自伝』というジャンル」を目にした瞬間、米国の、開拓当初から現在までの商人の歩みが浮かんできました。豪州の商人も、中国の商人も、欧州の商人も、中東の商人も、過去から現在、そして未来へと、連綿と続く商人とその家族の歩みが、まざまざと蘇ってきました。

『農民の自伝』というジャンル、『実業家の自伝』というジャンル、『会社員の自伝』というジャンル、『ジャーナリストの自伝』というジャンル、『職人の自伝』というジャンル、『教員の自伝』というジャンル、『公務員の自伝』というジャンル、などなどが無数に生まれるとよいですね。

クリスマスの季節-16-
書くも描く同様「自然」なことでは?



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