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2005-02-06

お花見/明治時代中頃の墨堤

今度は人にすすめられて花見酒を売った。そのお花見は----、その頃も上野か向島が第一だった。当時の花見は、今の若い人には想像もできないほど悠長で愉快。墨堤果てしなく続く桜樹の間に、茶店の赤い床几が続き、目かずら(目の部分の仮面)売りやゆで玉子売り、花見酒売りがところ狭き列。川には、赤い幔幕を張り巡らした花見船が、ゆるやかに棹さし弦歌さざめき、仮装や、とぼけた姿の酔漢が一升樽を肩に掛け、往く交う誰彼の見さかいなく、盞(盃)を差しつ差されつ、群がる人ごみを泳ぐように浮かれ歩いた。花見の酒売りは、店とは名ばかりで、荷車に菰冠りを三つ並べ、内、二つは空樽で、水で割った酒を売っても、売り方次第で酔客相手によく売れた。

自伝抄録・祖父の肖像より

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