昭和2年に近江銀行が休業
難関をようやく突破したと思った昭和二年、銀行の取り付け騒ぎが起きた。当時、私は営業上の取引に近江銀行を利用、近江には二万八千円の定期預金があった、定期預金の見返りに、当座での過振り(当座借越)を頼んでおいたので、近江危うしの噂を聞いて、定期預金相当額を借り越してしまったが、今度は近江は大丈夫という風評が立ち、騒ぐことは無理に銀行を潰すようなものだと承知、取引きを続けていた。近江は平素から風評がよくなかったので、流動資金以外の金は近江には置かなかったが、金利が他行に比べ高率だったので、つい金利に惹かれた私の愚かさ。
数日後、近江銀行が休業を発表。その発表を私がまだ知らない朝、名古屋の取引先一つが私の店に掛け取りに来た。
近江が潰れた、私が危ないと、今度は私の店が一斉に取り付けを食ったが、私は買掛けを無造作に支払った。その頃の私はそれ位の金額は、痛痒を感じないで決済することができた。
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